CORE MEMORY発刊記念イベント2つに参加
オライリージャパンから2月に発売されたCore Memory ―ヴィンテージコンピュータの美の著者2名、写真:Mark Richards, 文:John Alderman両氏の来日に合わせて、3/20,21日に続けてイベントがありました。(MAKE: Japan ブログの告知はこちら)。この写真集は、報道写真家だったMarkさんがマウンテンビューのコンピュータ歴史博物館をたまたま見学したときに、古いコンピュータの美しさに魅せられて、長期間の撮影の後に完成したものです。歴史的価値のあるコンピュータの写真集という点はもとより、アートとしての美しさも十分に堪能できる素晴しいものです。なお両イベントとも、本書の翻訳を担当された鴨澤 眞夫さんが通訳として活躍されていました。
- 作者: John Alderman,Mark Richards,鴨澤眞夫
- 出版社/メーカー: オライリー・ジャパン
- 発売日: 2008/02/26
- メディア: 大型本
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かっこいい機械ナイト vol.2 in ロフトプラスワン
前半は、寺田克也さん、船田戦闘機さん、伊藤ガビンさんらが登壇して「CORE MEMORY」の写真を肴に関係あることないこといろいろ喋りまくり。寺田さんの最近のお気に入りのDSマジコン用ペイントソフト「Colors」がデモされて、その出来の良さに一同感嘆したり。
後半にいよいよ「CORE MEMORY」著者の2人と鴨澤さんが登壇しました。
いろんな話題が出ましたが、特に興味深かったのはMarkさんがこの写真集を作ったいきさつで、
- 報道写真家として、アフガニスタンやパキスタンで通信社のために写真を撮っていた。
- インターネットが普及して、報道写真家という職業の需要はほぼ壊滅した。
- このままでは食えないので、誰も他にやっていないカメラマンの需要を模索していた。
- たまたま立ち寄ったコンピュータ歴史博物館で「ILLIAC IV」を見たときに、無数のケーブルが基板上を這うさまが、14世紀の人体解剖図のように見えてとても美しく思えた。
- 「これはアート」だと考えて、様々な出版社に写真集の企画を持ち込んだ。
というものでした。単にエンジニアのノスタルジーからではなく、「もの」としての単純な美しさがスタート地点になっているからこそ、写真の細かなディティールまで美しく見えるのだと思います。
トークショー in 新宿ジュンク堂
翌日の3月22日に今度は新宿のジュンク堂書店8階の喫茶スペースにて、お二人と鴨澤さんを招いたトークショーがありました。さほど広い会場ではないので、客席と著者の方々の距離が近く、とてもフランクな雰囲気のイベントになりました。
話の内容は、若干前日とかぶるところもありましたが基本的には新しい話題ばかりで、両日参加した私も十分に楽しめました。
こちらが写真家のMark Richardsさん。会話の節々にジョークを入れるお茶目な人です。リコーのGR Digitalで自分撮りをしています。
そいでこっちが、文章を担当したJohn Aldermanさん。かつてはHotWiredやWired Newsの編集者をやっていて、日本に住んでいたこともあるそうです。
この日の話題で面白かったのは、出版事情に対する日米の違いですね。オリジナル英語版では、原稿を完全に入稿してから出版されるまでに1年ほどかかったそうですが、日本語版の場合は数週間程度だったとのこと。その場でオリジナル版を見せてもらいましたが、印刷のクオリティは明らかに日本語版の方が良いように感じました。
なにより素晴しいのが、日本語版のオビですね。
「人の作りしもの。」素晴しい、グッと来ました。