「CEATECとデジタルコンバージェンスの未来」とヤマハの戦略

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2008年9月8日(月)にAMNのブロガーイベント「CEATECとデジタルコンバージェンスの未来」に参加しました。とっくに旬は過ぎましたが、ちょっと思ったことがあるので今更エントリを起こします。


すでにいくつもレポートがあがっていますが、全体の構成はこんな感じ。

  • CEATECに関する説明
  • ヤマハの最先端の取り組み
  • ワークショップ「2011年のCEATECには、どのような取り組みや仕掛けがあるとよいか」

展示会の価値とは

さて、展示会です。かつては、一日たっぷり会場を歩き回ってへとへとになりながらも、十分な満足感が得られた展示会。昨今は展示会に向かうモチベーションがあまり上がらないのは私だけではないと思いますが、今回のイベントで話されることの根底にも、常にその問題があったように思います。つまり、情報だけならばインターネットでいくらでも取得できる時代に、あえて展示会に足を運ばなければ得られないものは何か?


なにもこれは展示会に限った話ではなく、私が裏方をやっているような草の根イベントにも通じることなんですよね。ustreamやニコ動で、記録映像的なイベント疑似体験は誰でも簡単にできるようになりました。でもそれを越えて実際に会場に足を運ぶ人は大勢います。何がモチベーションになって、実際にその場にいることを望むのか? もっと話を広げれば、人はなぜ音楽CDを買うだけじゃなくてライブに行くのかとか。


そう、話は簡単なんです。実際に行ってみれば、疑似体験で得たものと実際にその場で得たものは、似ているようでまるで違うというのはすぐに分かる。でもそれは行った人でないと分からないものですよね。かつての展示会は「情報をいち速く得る」ということが、その場に行かないと得られないものでした。それがネットで代替できるようなった現在、現場に行く事の価値は、現場でしか得られないコミュニケーションに移っていると思います。


展示会を始めとするリアルイベントの今後はどうなるのか? 体験・経験を過剰に提供するパビリオン化するのか、会話が重要視されるキャバクラ的な発展をするのか、それとも参加者同士が結びつくきっかけとなる出会い系になるのか、方向は色々考えられるでしょうが、情報そのものが主役になることはどんどん減っていくでしょう。

ヤマハは的確に時代の流れを読んでいる

イベント内のかなり多くの時間でヤマハの方の講演がありました。その場でデモをされた「オンラインVOCALOID」や「オートボコーダーボックス」は4月の「音楽会議3」のときにすでに見ていたので特に驚きはなかったんですが、「BODiBEAT」のデモは初めて見たので興味深かったです。これは腕につけるMP3プレイヤーです。モーションセンサーを内蔵し、そのときの腕の振りに合ったテンポの曲を自動的に再生します。イベントでは触れられていませんでしたが、心拍数をモニターし走りに合った曲を選ぶこともできるそうです。


実は音楽会議3の際に、私が参加したグループで考えたアイディアがこのようなものでした。散歩する際に、自分の足のテンポで音楽が自動でなってくれると、きっと気持ちが良いんじゃないかということで考えた「さんぽてんぽ」というアイディア。その時点で1年以上前に実現されていたんですね。


ヤマハの杉井さんは、BODiBEATは実は楽器だといいます。これをつけて走っていて、ごくまれに自分の走りのテンポに完璧に合う瞬間が来る、このライブ感はジャズセッションでぴったりくるのと何も違いはない、と。見方を変えればこれは演奏しているとも言えるのではないか。


限られた一部の発信者とその他多くの受信者、というこれまでの時代から、誰でもクリエイターになり情報発信する時代に、ものすごいスピードでなだれ現象が起きているのが現在だとヤマハは捉えており、その発信者を技術でサポートするのがヤマハのミッションだときっぱり明言されました。


UGCCGMWeb2.0だと言われながらも、一般の人の創造性を大会社が本気で信じている例はさほど聞きません。もちろんヤマハが、楽器という直接一般人の創造性に寄与するビジネスをしているというのもあるのでしょうが、まだネットの一部でしか始まっていない時代の流れを的確に捉えているのはさすがだと思いました。

おまけ

今回のイベント参加者には、今年のCEATECのプレスパスで参加できるよう取り計らってもらえるそうですが、私は多分展示会に行っている時間がないのでプレスパス申し込みはしてません。